吉備楽の歴史

昨夜は三木市で毎週水曜日に開催されている吉備楽教室へ絹糸張りの琴があるということで、録音にお邪魔しました。

教室へ向かう途中に吉備楽についての歴史、そして、感覚を掴もうといろいろ質問させてもらい、だいたいのニュアンスを掴むことができました。

そこで、吉備楽とは!?の部分をここで紹介するとともに、今では珍しくなった絹糸張りの琴の音も紹介したいと思います。


吉備楽とは!?

吉備楽とは元々その名の通り、吉備の国で生まれた音楽です。

初代の岡山藩守池田光政は文化的事業を多数興し、文化の発展を推奨していったそうです。

また、廃藩置県より以前の岡山といえば、優秀な雅楽奏者を多数送り出していたという音楽の国でした。

吉備楽の創始者は、岸本芳秀。彼もまた優秀な雅楽奏者の一人でした。

雅楽自体は宮廷音楽であり、一般大衆が馴染める文化ではなかったため、雅楽を知り尽くした岸本芳秀は広く一般大衆にも馴染めて、より演奏しやすい形態を整えて吉備楽を完成させます。

誕生してすぐに、岡山で生まれた神道、「黒住教」「金光教」の両教団の祭典楽として採用されます。

両教団が相伝で受け継いでいるため実質現在は「黒住教吉備楽」と「金光教吉備楽」の2種類が存在しています。

2種類ありますが、創始者である岸本芳秀自身が明治16年に黒住教の楽長となっていることから、「歴史を観る」という視点から黒住教吉備楽が正統派だと言えると思います。


ちなみに岸本芳秀の父「岸本芳景」も優秀な雅楽奏者だったそうで、岸本芳秀は幼い頃から英才教育を受けていたとされています。

11歳の頃にはすでに雅楽奏者としてプロの舞台に立っていたそうです。

京都で宮中の楽頭安倍雅楽助から秘曲を伝授されていたりと、まさに雅楽を極めたあと、明治に入り吉備楽を完成させています。

そんな岸本芳秀が楽長を務めた創設当時の黒住教吉備楽団は一体どんな音をしていたのだろうか。

想像するだけで夢が膨らみます。

創始者岸本芳秀率いる黒住教吉備楽団は7年演奏され、岸本芳秀は明治23年6月3日、70歳でこの世を去ります。

そこから現在までしっかりと相伝されているという黒住教吉備楽です。

吉備楽とは!?大まかに歴史をたどってみましたが伝わったでしょうか?


絹糸の琴の実力は!?

絹糸琴について調べているとある琴業者のブログで「テトロンを張ったしばらくノーメンテの100万円位のお琴に対し絹糸を張った稽古琴でも新糸を張った一日” 二日なら負けません 」とありました。

それくらい絹糸の琴は大変素晴らしい音が鳴ります。

そして歴史やロマンを感じます。

琴の歴史は大変古く、弥生時代(紀元前3世紀〜紀元後3世紀くらい)から存在していたと言われています。

もちろん現在のような形ではなく、「何かと何かに糸を張って弾く」くらいのものでしょう。

神話上の起源は日本初の踊り子!「アマノウズメが天香具弓(あまのかぐゆみ)を並べて叩いたのが琴の始まり」とされています。

琴は「こと」の他に「きん」とも読みます。

以前外国人に日本語を教えていた時に、「母はピアニストですが、手風琴もできます」とメッセージが来て、手風琴がわからずネットで調べた。。。という恥ずかしい想いをしました。

ここで、日本語を学ぶ外国人に負けない様に少しだけ日本語講座!

ピアノ→洋琴(ようきん)

オルガン→風琴(ふうきん)

アコーディオン→手風琴(てふうきん)

オルゴール→自鳴琴(じめいきん)

バイオリン→提琴(ていきん)

どうですか?!ご存知でしたか?!僕は知りませんでした。

この知識は楽理専攻の方くらいしか知らないのでは?と思います。

さて、少し脱線しましたが、現在では日本全国で1割以下の使用となっている大変貴重な絹糸の琴。

紋付黒漆塗桐箱で長い間大切に保管されていた琴が時を経て絹糸で蘇ります。


※全音源©Pinocoa & こなや

では、吉備楽教室の垂井健先生による「春」の演奏。

ボディもさすが紋付黒漆塗桐箱で保管されていただけのこともあり、相当響きます。

床が振動するほどでした。

薪ストーブの音も入り、なんとも情緒あふれる録音会。

もちろん今回もノーマライズのみで一切の加工はしていません。

上記はQTC30ですが、オーディオマニアの方のために、KM184の音も↓↓↓


ちなみに絹糸ではないバージョンの音源はこちら!※リンクをクリック

いかがでしょうか?!

大変珍しい絹糸の琴!

さらにさらに、この音源は出すかどうか大変迷ったのですが、吉備楽の魅力を伝えるために掲載。

の音ですが、この演奏は本当に素晴らしい内容で、まさに神がかっていました。

菅掻という曲で、もちろん作曲は岸本芳秀。

「神々を追い出したり」という様子を表現した曲ですが、岸本芳秀の作曲センスと才能には大変驚かされます。

まさに現代アートとも言える純日本音楽の芸術。

西洋の音楽文化では決して真似のできない、和の極位を感じる事ができます。

それに加えて神がかった演奏〜それをQTC30で収録できる喜びはとても文章で表現出来るものではありませんでした。

KM184ではまた違った解像を見せてくれました。↓↓↓

音源はすべてMP3で圧縮されていますが、96khzのデータが残ってます。

このように吉備楽の歴史の1ページを記録できたという事を光栄に想います。

吉備楽の歴史と魅力が当ページで少しでも伝われば幸いです。


リンク

Pinocoa総合プロデューサー:Kotaro Hattori

三木市吉備楽教室:垂井健