【第二回】アルゼンチンで最初の有声映画と初期の映画を2本紹介

※この記事は2020年4月23日に更新されました。

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アルゼンチン初の有声映画が発表されたのは、1933年4月27日、Cine Real(シネ・レアル)(現在は閉鎖しているが、住所はEsmeralda 425)

制作会社は、アルゼンチンSono Film

映画の名前は・・・「Tango!」(タンゴ!)でした。

アメリカで一番最初の有声映画がJazzを取り扱ったものだったことに影響されてか、アルゼンチンではタンゴを取り上げ、当時の各地域でのタンゴとの関わり方や、話し方の特徴、社会の様子をよく表した構成になっており、映画というよりも、ドキュメンタリー色の強い1時間少々の作品となっています。

さすが南米!単純で分かりやすいにゃ!!

当時のタンゴを体験することができる

初の有声映画である「タンゴ」はミュージカル風で、歌があり、踊りもある有声映画となっています。

当時、タンゴはアルゼンチン社会と密着に関わっており、生活に欠かせない文化の一つでした。

監督Luis Moglia Barht
脚本Carlos de laPúa(カルロス・デ・ラ・プーア)

出演者も、当時の人気俳優や人気歌手、超人気の音楽家を揃えているラマね~

Libertad Lamarque(人気俳優)
Tita Merello(人気歌手)
AlbertoGómez(人気歌手)
Pepe Arias(ビクター契約歌手)
ルイス・サンドリーニ(超人気俳優)

など。

演奏者では

フアン・デ・ディオス・フィリベルトオーケストラ
ペドロ・マフィア
オスバルド・フレセド
フアン・ダリエンソ楽団

などなど。。。

→【ダリエンソ楽団】Juan D’Arienzo (ファン・ダリエンソ)

タンゴは公開から100年近くたっていると考えるとなんだかロマンがありますよね。

当時の様子やタンゴへの空気感なども映像からしっかりと感じることが出来ると思いますので、タンゴファンは是非約100年前のタンゴの世界へ旅立ちましょう!

Los Tres Berretinesの公開

その後1933年5月19日にルミトン(Lumiton)という制作会社から“ Los Tres Berretines”という映画が公開されます。

この映画の成功により、アルゼンチンの映画業界はLumitonと、Argentina Sono Filmの2大制作会社が活躍していくことになります。

それでは映画を見ながら解説を見ていきましょう。

【物語】

1 、Arrabal(郊外)(2分35秒)
家の庭に楽団がきて、ミロンガが行われる。
幼馴染にまだ恋する男と、タンゴで出会った男に惹かれる女。
地元だけに、ご近所さんのつながりや地域のつながりで生活に密着してタンゴが楽しまれていたということが見て取れる。

2、リアチュエロ(港)(12分45秒)
舞台はブエノスアイレスの港リアチュエロ(ボカにあるリアチュエロと呼ばれる港)のバーにて。
1組のカップルの男が他のテーブルの女に声をかけにいく。
取り残された女は、一人退屈そうにしている。
そこへ、その女を忘れられず悲しんでいた元彼がちょうど出くわし、
一人の彼女を発見。側へよる。
寂しさの隙間に入ってきたその男(アルベルト)に、「あなたに悪いことをしたわ。あの時がよかったと気づいの」と女。
そこへ他のテーブルに行っていた男が帰ってきて、怒り出す。
そして女を巡って、ナイフを持った喧嘩が行われる。
元彼が勝ち、彼女は「あああ、なんてことをしてくれたの、でも、ありがとう」とよりが戻る。
怪我をした男は、そこにいたもう一人の見物人に「友達が近くに住んでるから、そこまでついてきて!」頼む。
というコントのような展開。

3、バリオ(町)(23分42秒)
いつも心が戻る場所、バリオ
そこのとあるバーにて。
女性による楽団が演奏している。
カフェとメディアルナを食べている(ブエノスアイレスの特徴の一つ)そして、パンをコーヒーに入れて食べる。
パリにいくことを伝える。
それに対しして、友人は「ガルデルと同じだな!!」と皮肉をいう。

[su_box title=”なぜ皮肉??” box_color=”#e0e544″]当時脚本家のプアは、ガルデルとは友人関係でした。
この頃ちょうどガルデルは、アメリカでの仕事が決まり、ブエノスアイレスを捨てて、意気揚々とアメリカでの生活を送っていました。
それに対して皮肉を交えてこのセリフを入れているのではないでしょうか。[/su_box]

→【ブエノスアイレス観光】 知っておきたいバリオの話

→【ブエノスアイレス観光】3つのおすすめパン屋さん

4、 La noche(夜)(42分40秒)
もちろん夜もタンゴ!なのです。
アルベルトの友達のついた嘘(忘れられない恋人Titaからの手紙が届いているよと嘘のハガキを見せられる)を本気に捉え、アルベルトとその嘘をついた友達はパリに向けて出発。
船旅の途中に出会った船の歌手に、忘れられない恋に希望を持って旅をしていると打ち明けるが、その歌手とパリでは共に行動することになります。
一緒にブエノスアイレスに帰ろうよ、と言われてしまう始末。
気の多いアルベルトの友達は、行った先のミロンガで他の女性にも気を取られる。

5、ブエノスアイレスに戻る(1時間5分15秒)
タンゴで仕事をもらえたアルベルト。
船で女性とうまくいい感じになり「今はタンゴが前よりも好きだ、タンゴで君にあったから」という甘い会話の途中に、旧友が駆け寄り、「Titaが前の家に戻ってるねんで!君をいつも待ってるのに!!」と言いアルベルトは「家行こうぜ」とすぐになります。
(そこで船の彼女を思い出し、駆け寄る。)
彼女には「僕の気持ちわかるだろ?!」と簡単に、良い、Titaの元へ。

結局tangoはBarrioに戻ってくる。という結末。
Titaとアルベルトは結ばれ、
Tita「タンゴで得た今までの仕事はどうするの??」
アルベルト「もう全部知った。全部得た。君が足りない」
外国のタンゴは日本人の行進んたいで、退屈だ。との皮肉もあり、Barrioに残るよ。

というエンディングを迎えます。

まとめ

タンゴは、結局のところ自分たちをBarrioに呼び戻し、本当に必要なものは、華やかな場所でもPariでもなく、Barrioにある。

ということが言いたいのではないでしょうか。

映画の全体的な特徴としては、各舞台が変わる度に、白文字で「Barrio」の場所のこと、また説明書きが文字で現れます。

これは、無声映画の名残で、監督たちがまだ完全に音声だけで映画を表現するのに抵抗と不安があり、文字でも書いているのではないか?と研究者は考えています。

次の映画作品からは、こういった文字での説明書きがなくなっているんですねぇ~

脚本家のカルロスデラプア(カルロス・デ・ラ・プーア)は、タンゴのあった社会に生きそのタンゴ社会でのやり取りや、時代の様子を物語としてうまく表現している脚本家です。