【第一回】映画とタンゴ


※この記事は2020年4月10日に更新されました。

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

このシリーズでは映像とタンゴの歴史や、映像で見るタンゴの歴史などを紹介していこうと思います。

アルゼンチンでは、有声映画へ移り変わる以前、1929年に、無声映画録音の合成をはじめます。

Mosaico curiolloと呼ばれるもので、音楽を別に録音をし、その音楽に合わせて、演技をする手法がとられています。

どんな作品なのでしょうか?

当時の作品がYoutubeに残っていたのでシェアしたいと思います。

この実験的な試みの翌年、1930年にアルゼンチンでは初の有声短編映画の制作が始まりました。

カルロス・ガルデルの短編映画

「近いうちに、バジェのフィルム分野で新しい活動が開始されるでしょう!それらの映画は、フォノフィルムのシステムにより、ポピュラー音楽を皆さんにお届けします!」

このテキストは1930年10月16日に新聞「ラ・アルゼンチン」に掲載され、フェデリコ・バレ監督がMèxico 832(住所:メキシコ832)にてある研究を行なっていることをほのめかしていました。

当時は「fonofilm」または「movietone」と呼ばれるシステムで、「オプティカル・サウンド」(視覚的音)と呼ばれました。

最初のプロジェクトは、「歌のフレーミング」を作成することでした。

このプロジェクトにはエドゥアルド・モレラ監督が参加。

彼は、それまで二つのサイレント映画「アンダールックオブゴッド」(1926)と「ラ・ボラチェーラ・デル・タンゴ」に俳優として参加していました。(1928年)。

モレラ監督は、友人のカルロス・ガーデルに、「アルゼンチン有声映画」の最初のテストでレパートリーの中から一曲を披露してもらえるよう交渉します。

「ガーデルは映画を作ることに非常に消極的でした、そしてラザノは多くの商業的ビジョンを持つ少年でした。 私たちは「ビエホ・スモーキング…」と呼ばれる短編映画から始めました。」

とモレラは語ります。

それは、それからの道のりでモレラがどれだけガルデルを説得しなければいかなかったかを物語っていました。

設備は非常に質素なもので、撮影機の騒音を抑えるためにクッションを置いたり、音響は壁の麻布の袋で残響を調節したり、照明は適当な反射板で行われたりと、常に現場で臨機応変に対応しなければいけませんでした。

当時ガルデルの歌が収録され公開された歌
・「パドリノ・ペラオ」“Padrino Pelao” (tango)
・「テンゴ・ミエド」Tengo miedo”(tango)
・「カンチェロ」“Canchero” (tango)
・「エンフンダ・ラ・マンドリナ」“Enfundá la Mandolina” (tango)
・「アニャランサス」“Añoranzas” (vals)
ガルデルと作曲者も一緒に出演している4曲
・“Rosas de Otoño” (vals) 「ロサ・デ・オトーニョ」フランシスコ・カナロと共に出演
・“Yira yira” (tango) 「ジーラ・ジーラ」エンリケ・サントス・ディセポロと出演
・“El Carretero” (canción criolla) 「エル・サレテロ」アルトゥーロ・デ・ナバと出演
・“Mano a Mano” (tango) 「マノ・ア・マノ」セレドニオ・フローレスと出演

「ビエホ・スモーキング」という歌の前には、俳優のセサール・フィアッシと、イネス・ムライと共に、短編コメディを演じています。

それぞれの曲は、ガルデルのギター奏者3人による伴奏で演奏されています。

“Rosas de Otoño” と “Viejo Smoking”は、カナロ楽団による演奏だにゃ!

これらのカルロス・ガルデルの短編歌シリーズは、友人のフランシスコ・カナロと、モレラの発案により、「アルゼンチン有声映画」の創立者となりました。

→Francisco Canaro (フランシスコ・カナロ)について

モレラがこれらの短編映画を完成させたとき、彼は深刻な問題に気が付きます。

実は、当時ブエノスアイレスの映画館は有声映画のための設備が装備されていなかったのです。

モレラは、1930年代の映画館、グラン・スプレンディッドシネマの所有者であるクレメンテ・ロココと設備投資について交渉します。

これらの短編映画のうち、公開されているのは10本だけですが、モレラは全部で15本あり、「他にも、レギサモ、デ・ナバ、ディセポロが演じたものがある」と語っています。

1995年に、タンゴ「エル・キニエレロ」が新たに発見され、それらの設定、時代、方向性から、1930年にモレラが行なったシリーズであると推測されています。

このフィルムでは、ガルデルの全身がうつり、3人のギター奏者が座っています。

これは、まだ一般には公開されていません。

ガルデルの短編映画

ガルデルがRosa de Otoñoを歌った時の逸話

Rosa de Otoñoの前には、フランシスコ・カナロとの対話があるのだが、その後ろにカーテンがかかっています。(この動画の24;00から)

実はこのカーテンの後ろには、フランシスコ・カナロ楽団(6重奏)が控えていました。

このRosa de otoñoには、歌う部分と歌わない部分(器楽曲のみ)があり、その歌わない時には、ガルデルは何をしていいのわかりませんでした。

カメラに向かって立っているだけで、観客もいなければ、オーケストラも見えない・・・

モレラは、ガルデルに「胸のハンカチをとったり、下向いたり、自由にしてよ!」と言ったそうです。

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